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「浦島太郎」幻想が滲む 短編『夏の日の夢』の三角西港

ハーンが書き記した美しき三角西港

名文でよみがえる在りし日の景色

 日本に帰化し、小泉八雲を名乗ったラフカディオ・ハーン。日本研究を深め、いくつかの評論でその姿を海外へと伝えたが、日本では古典や民間説話に取材した創作集『怪談』がもっとも有名だろう。
 そんなハーンは、浦島太郎説話に随分と心惹かれていたらしい。そして、乙姫として表現される神に惑わされ、悲劇的な結末を迎えた太郎に対し“同情を寄せる日本人”に首を傾げていた。ハーンは言う。「神に惑わせられていない者などいない」と。太郎はその神の目的を疑い、箱を自ら開けたのだから自業自得ではないか、と。
 長崎からの帰り道、ハーンは三角港(現在の三角西港)に立ち寄り、西洋風の旅館に投宿した。女主人のうっとりするような姿と立ち居振る舞い、風鈴の音のような声にすっかり魅了され、魔法にかかったような心持ちになる。そう、まるで乙姫に出会った太郎のように。  宿の名は「浦島屋」。その名を反芻したハーンは、三角の湾曲した浜辺、緑の大きな岩山と岩山の間に見える港の開口部、きらきらした夏の海を眺めながら、浦島太郎へと深く遠く思いを馳せるのだ。
 それらを書き記したのが短編『夏の日の夢』。三角の風景と浦島太郎説話の考察が夢うつつの間で交錯する誠に美しい作品である。

  • 復元された浦島屋(イメージ)

    復元された浦島屋(イメージ)

  • 三角西港を設計したムルドルの名が残る通り(イメージ)

    三角西港を設計したムルドルの名が残る通り(イメージ)

今も残る、ハーンを夢想させた美しい町

 三角西港にたたずめば、描写された景色が今も変わらず目の前に広がる。女主人の宿・浦島屋も設計図を元に復元されており、ハーンならずとも、何かに惑わされかのように心が騒ぐ。
 世界遺産に認められた明治の産業遺産としての価値はもちろんだが、その硬派な持ち味だけではなく、この地がふと見せる幻想的な風情も見逃せない。賑わう昼間ではなく、ハーンが夢想した早朝に訪れれば、その景色はまた格別だ。

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