水辺の穏やかな風景から「日本のベニス」と呼ばれる富山県射水市新湊にある内川エリア。
古い町家風の民家が残るノスタルジックな雰囲気が魅力です。
休憩にぴったりのカフェもあるので、散策にはピッタリ。
カニの昼セリや絶景が待つ公園にも少し足をのばしましょう。
美しい水辺の景色と昭和レトロが交差する「新湊内川」
高岡駅から路面電車の万葉線に揺られて約40分行くとたどり着く、射水市新湊地区の港町・内川。富山新港から東西約3.5kmにわたり続く河川です。川沿いに民家が立ち並び、川岸に漁船が停泊する風景がイタリアのベニスを思わせることから「日本のベニス」と呼ばれています。

遊歩道をさんぽすれば、船の舵をイメージした街灯や船を止めておく係船柱、カモメが飛び交う様子など、港町らしい風景に出合えます。

天気のいい日には、東の方向に立山連峰が見えることも。昭和レトロなのどかな町並みとこの絶景に、一度訪れたらこの町のファンになる人が多いことがうなずけます。

内川には10以上の橋が架かり、それぞれ異なる趣を持つのが特徴です。

ベンガラに塗られた東橋は、歩行者専用の切妻屋根付き橋。両端に休憩処があり、ベンチに座ってゆったり風景を眺めることができます。

山王橋は、大理石で作られた手の彫刻が見ものです。橋をめぐるのも内川散策の楽しみのひとつ。観光船での“12橋めぐり”もあるので、チェックしてみて。

二の丸橋を川沿いに東へ進むと、内川橋梁を走る万葉線の電車のかわいらしい風景が。
カフェやショップに立ち寄りながら、内川さんぽを楽しんでください。
内川カフェのパイオニア「cafe uchikawa 六角堂」でパンランチ
三叉路の角地に立ち、六角形の形をした「cafe uchikawa 六角堂」。まだ内川エリアにカフェなどがなかった約10年前、解体寸前だった元畳店に一目ぼれしたオーナーが建物を譲り受け、カフェへと生まれ変わりました。

扉や窓、柱など築80年ほどの町家の面影をできるだけ残しつつ、お洒落にリノベーション。2階には、個室気分が味わえるソファ席、書齋のようなテーブル席、大勢が着席できるダイニングテーブルなど、趣の異なる座席がスタンバイしています。

気軽に食べられるものをと、メニューはサンドイッチとコーヒーからスタートしたそう。食材はできる限りオーガニックにこだわり、食べておいしいもの、体にやさしいものを提供しています。

サクサクの食感とキャラメリゼされたバターの香りがたまらない大きなクロワッサンに、アトランティックサーモンやリーフ野菜などたっぷりの具材がサンドされています。特製ドレッシングで食べるサラダや日替わりスープが付いて、食べ応えも抜群です。

コーヒー豆はオーガニック栽培のスペシャルティコーヒーを使用。カフェ・ラテはセット料金にプラス150円で注文できます。
新湊を代表するカフェは、ぜひ立ち寄りたい一軒です。
cafe uchikawa 六角堂
- 住所:富山県射水市八幡町1-20-13
- アクセス:JR各線「富山駅」からあいの風とやま鉄道「高岡駅」乗り換え、万葉線「新町口」下車、徒歩10分
- TEL:0766-30-2924
- 営業時間:ランチ11:30~14:30、カフェ14:30~18:00(LO 17:00)、ディナー17:00~20:30(LO 20:00)
※ディナーは3日前までに要予約 - 定休日:月、第1火曜 ※祝日の場合は翌日
- URL:https://inacafe.net/
「野村屋」の新感覚和菓子をおみやげに
室町時代以前から主要道路として利用されていた、越中浜往来(浜街道)沿いに立つ「野村屋」。創業50年を超える、地元で評判の老舗和菓子店です。

3代目の野村英隆さんは、若い世代にもあんこのお菓子を楽しんでほしいと、いろいろな新商品を考案しています。ホットケーキをイメージして作ったという、変わりどら焼きもそのひとつ。

富山のご当地ラーメンをイメージした醤油バター風味の「富山ブラック」、大粒の渋皮栗が入った「海王丸」、地元のゆるキャラが描かれたメープルバター味の「ムズムズ」のほか、季節のどら焼きもラインアップ。それぞれに施された焼き印にも注目です。

店内のショーケースには、つきたてのお餅を使った伝統的な和菓子も。お餅のまわりに「ささげ豆」をまぶした「ささぎ餅」は、他県の人は必ず購入するという富山名物。草餅で作るささぎ餅は、野村屋のオリジナルだそう。

どら焼きの皮をラスクにした「どらスク」、葛ゼリーを使ったアイスバーなど期間限定で登場する商品があるので、おでかけ前にチェックしてみて。
野村屋
- 住所:富山県射水市本町3-6-4
- アクセス:JR各線「富山駅」からあいの風とやま鉄道「高岡駅」乗り換え、万葉線「新町口」下車、徒歩7分
- TEL:0766-82-3637
- 営業時間:7:00~17:00
- 定休日:火曜
- URL:https://nomura-ya.com/
映画のロケ地「番屋カフェ」で川を眺めてまったり
「番屋カフェ」は、新湊が舞台になった映画、「人生の約束」で漁師たちの番屋として利用された場所にオープンしました。内川沿いに佇むロケーションが魅力です。

建物は、築100年を超えるかつての廻船問屋をリノベーション。天井の高い開放感あふれる空間です。

おすすめは、野村屋をはじめ、内川周辺のお菓子屋さんのお菓子1個とドリンクがセットになった内川まったりセット。ここで食べて気に入れば、お店に行っておみやげに買って帰るのもあり!

中六醸造元の甘酒と地元産米粉を使った甘酒シフォンケーキは、菓子処 あんが製造。こちらは、番屋カフェオリジナルメニューです。

地元の味と窓の外の風景を楽しみながら、まったりとした時間を過ごしましょう。

入口に展示されている、映画で使われた大道具、小道具も必見です。
番屋カフェ
- 住所:富山県射水市放生津町17-5
- アクセス:JR各線「富山駅」からあいの風とやま鉄道「高岡駅」乗り換え、万葉線「新町口」下車、徒歩7分
- TEL:0766-75-7477
- 営業時間:9:00~17:00
- 定休日:水曜
- URL:https://www.instagram.com/banyacafe_happias/
「おきがえ処・内川 KIPPO」のアンティーク着物で内川をそぞろ歩き
内川のレトロな町並みをもっと楽しみたいなら、まず「おきがえ処・内川 KIPPO」に行くのもおすすめ。着物や帯、小物まですべてがそろうレンタル着物店です。

元洋品店と住居だった建物をリノベーションした空間は、間口が狭く奥に長い新湊の特徴的な町家です。内川を望む風景、中庭を横目に奥へ奥へと続く廊下を歩くだけでも貴重な体験かもしれません。

2階の棚にズラリと並ぶ着物は、7、80年以上前に仕立てられたものもあり、すべてがアンティーク着物です。すべて地元の方が寄付してくれたものだそう。100種以上あるアイテムからお好みをセレクトしましょう。

なかには、昭和30年代に新潟県十日町で数年だけ織られていた「マジョリカお召」といった貴重なものも。着物の歴史にふれるのも、こちらならではの楽しみのひとつです。

帯や帯締めをどれにするか迷ったら、スタッフがアドバイスしてくれるので安心。コーディネートをお願いしてもOKです。

着物で川沿いを歩けば、旅気分が一層盛りあがるはず。
抹茶体験や日本文化体験、ドレスレンタルもあるので気になる人はぜひ。
おきがえ処・内川 KIPPO
- 住所:富山県射水市中央町3-12
- アクセス:JR各線「富山駅」からあいの風とやま鉄道「高岡駅」乗り換え、万葉線「新町口」下車、徒歩5分
- TEL:0766-84-7996
- 営業時間:10:00~16:00
- 定休日:火曜
- 料金:お着物一式レンタル(10:00~15:00)3,000円 など
- URL:https://kippo-kawaguchi.jp/
ベニズワイガニがつくる赤いじゅうたんが圧巻の「カニの昼セリ」へ
内川からほど近い新湊漁港では、全国でも珍しい「昼セリ」が行われています。“天然のいけす”と呼ばれる魚介の宝庫である富山湾のなかでも、新湊漁港は県内有数の漁港でさまざまなセリが行われ、2階の通路から見学が可能。

特に、毎年9月から5月に開催される富山県のブランドガニ・高志(こし)の紅(あか)ガニ(ベニズワイガニ)の昼セリは必見です。
真っ赤なじゅうたんのようにベニズワイガニが敷き詰められる光景のなか、セリ人と買い手が繰り広げる活気あるセリの様子は一見の価値あり!

「富山新湊漁港 かに小屋」では、昼セリ見学と水揚げされたばかりのベニズワイガニを味わえるセットプランを用意しています。

大釜でダイナミックに茹であげられる様子の見学も可能。

カニ本来の味を楽しむため、カニ1杯をまるごと何も付けずに味わいます。ほかにも、食べ放題プラン、漁港鍋プランもあり。漁港ならではの、とれたて茹でたてのカニをほお張る至福のひとときを。

「新湊きっときと市場」では、カニの昼セリ見学のみプランが予約できるので、時間がない場合はこちらがおすすめです。市場内でも3カ所で大釜カニ茹でが行われているのでチェックして。
富山新湊漁港 かに小屋
- 住所:富山県射水市八幡町1-1100
- アクセス:JR各線「富山駅」からあいの風とやま鉄道「高岡駅」乗り換え、万葉線「東新湊駅」下車、徒歩10分
- TEL:0766-84-8051
- 営業時間:13:00~15:00
- 定休日:水・日曜、祝日、6~8月
- URL:https://shinminato-kanigoya.jp/
新湊きっときと市場
- 住所:富山県射水市海王町1
- アクセス:JR各線「富山駅」からあいの風とやま鉄道「高岡駅」乗り換え、万葉線「東新湊駅」下車、徒歩10分
- TEL:0766-84-1233
- 営業時間:9:00~17:00 ※時期により変動あり。各店舗により異なる
- 定休日:無休(一部テナント休日あり)
- 料金:カニの昼セリ見学1人100円
- URL:http://kittokito-ichiba.co.jp/
貴重な帆船見学と海辺の景色が満喫できる「海王丸パーク」
商船学校の練習船だった「海王丸」が現役当時の姿のまま公開されている「海王丸パーク」。海王丸の進水日が2月14日だったことから、バレンタインデーにちなみ「恋人の聖地」に選定されています。

まずは、「恋人の聖地」モニュメントがあるこの場所で、海王丸、新湊大橋、立山連峰が織りなす景色を堪能しましょう。

海王丸は、現存する最古の日本建造練習帆船として「ふね遺産」にも認定。通常30年ほどでその役目を終えるという船舶が59年間現役を続け、その後30年以上たってもなお当時の姿を残しているのはかなりレアケースなのだとか。1990(平成2)年から一般公開されていて、実際に乗船することができます。

船内では、船を操縦する「前部航海船橋」、訓練生宿泊室、船長公室などの見学ができます。

船尾に設置された巨大な舵輪、不思議な力を持つとされるタイムベル、愛むすび・愛鍵部屋など、撮影スポットや見どころが満載です。

パーク敷地内には、緑の芝生が広がるふれあい広場や、ピクニック広場などのんびりくつろげるエリアがスタンバイ。富山湾と立山連峰を目の前に眺められる展望広場からの景色は圧巻です。

海王丸がすべての帆を広げる総帆展帆(年10回)の日に訪れたら、「海の貴婦人」の愛称にふさわしい壮観な景色に会うことができます。
海王丸パーク
- 住所:富山県射水市海王町8
- アクセス:JR各線「富山駅」からあいの風とやま鉄道「高岡駅」乗り換え、万葉線「海王丸駅」下車、徒歩10分
- TEL:0766-82-5181
- 営業時間:散策自由、海王丸乗船9:30~17:00(季節により異なる)
- 定休日:無休、海王丸乗船は水曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日、年2回(11月ごろ、2月15日~3月ごろ)の船体整備期間
- 料金:無料、海王丸乗船料大人400円、小中学生200円
- URL:http://www.kaiwomaru.jp/
いかがでしたか?港町で過ごす一日を堪能してください。
掲載情報は2023年2月20日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください
徒歩での所要時間は80m=1分での概測です。
乗り物の所要時間は、土休日ダイヤの最速時間です。乗り換え時間・待ち時間は含みません。時間帯、交通事情、利用する駅またはバス停により異なります。
船の所要時間は、時間帯、交通事情、利用する港により異なります。
料金は税込表記を基本としています。