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特集 2019年7月号
大自然に心癒されて鹿児島の離島を訪ねる
南北約600キロメートルにわたって弧状に点在する鹿児島県域の島数は、26の有人離島を含めて600以上。
島の総面積は全国1位という広さ。そう鹿児島は、島々に囲まれた日本でも指折りの“離島天国”なのである。
温帯から亜熱帯へ推移する多様な気候が生み出した自然と風土は、沖縄とも九州南部とも一線を隠すユニークさです。そうした景観をはじめ、独自に培われた歴史や伝統もそれぞれに個性的で、ひとことでは表現できない魅力にあふれている。“ 洋上のアルプス” とも呼ばれる屋久島、鉄砲伝来で知られる種子島。そして、アマミノクロウサギをはじめとした、世界的にも珍しい動植物が多数生息している奄美大島、サトウキビ畑が広がる、南国の香り漂う徳之島など数え上げればきりがない。
1000メートル級の山岳が島の9割を占める屋久島は、特に登山やトレッキングが盛んです。降雨量が多く、年間を通した湿潤な気候ゆえに千年以上の樹齢を誇る巨杉が知られるが、ガジュマルなどの亜熱帯植物からカシ類の照葉樹林まで日本の植生が凝縮している点も大きな特徴。「ヤクスギランド」や「白谷雲水峡」など見どころの豊富さも人気だ。
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戦国時代の勢力図を一変させた鉄砲の伝来、人工衛星打ち上げの中心的な役割を担って日本の宇宙開発を牽引し続ける「種子島宇宙センター」。種子島には過去と未来、壮大な時間が交差している。海をバックにそびえ立つロケット発射場を眺め、同島を舞台とした“ 歴史の転換期” をぜひとも体感したい。
手つかずの自然と伝統息づく奄美大島
300種以上ものサンゴが息づく“アマミブルー”の海が美しい奄美大島。東シナ海を見晴らすなら、大浜海岸がおすすめ。特に、白い砂浜を赤く染め上げるサンセットタイムは絶景。水平線に沈みゆく太陽はもちろん、刻々と移りゆく空の美しいグラデーションが堪能できる。
太平洋に面した「ホノホシ海岸」で出合えるのは、切り立つ奇岩や洞窟が点在する力強い景観。荒波に洗われ丸くなった玉石が一面をうめつくす“ 石の浜” も見もの。この石が寄せ返す波に擦れ合って鳴らす太鼓のような音に、ひととき耳を澄ませたい。
さらに見逃せないのが、淡水と海水が混ざる汽水域に繁茂したマングローブの原生林。亜熱帯特有の植物群の間をカヌーでめぐる手軽なツアーなどもあり、ちょっとした探検気分で野性味あふれる大自然に触れられる。
自然だけでなく、土地に根ざした文化やここでしか味わえない郷土料理など魅力はほかにも盛りだくさん。中でも筆頭にあげられるのが大島紬だろう。養蚕の適地だった奄美大島は古くから絹織物が盛んで、一説にその起源は7世紀に遡るとされ、世界有数の歴史があるという。
一般的な反物は織り上がった布地に手描きや刺繍などで柄を入れるが、大島紬は設計図に従って先に染めた糸で柄を織り出していく。さらに、その糸は「泥染め」と呼ばれる“ 泥を使った” 奄美大島特有の技法で染められている。大変に手間のかかる複雑な製法が生み出す唯一無二と称される深みのある黒褐色が、高い人気を支える理由のひとつだ。
南国情緒たっぷりの“熱い”島・徳之島
犬田布岬(XM)
奄美大島よりも南に位置する徳之島で、まず出かけたいのが「金見崎ソテツトンネル」。巨大なソテツの並木がアーチ状に続く小径で、その距離はなんと200 メートル余り。そもそもは金見集落の畑の境界線と暴風対策のために植えられたもので、今では徳之島ならではの景観として名物に。トンネルの先には、東シナ海と太平洋が一度に見渡せる展望所からの大パノラマが待っている。
海のビューポイントで外せないのが「犬田布岬」。徳之島の最西端に突き出した断崖絶壁から180 度広がる紺碧の東シナ海は壮観。戦艦大和の慰霊塔が立つことでも有名で、奄美十景に数えられる。
「犬の門蓋(いんのじょうふた)」は、荒波や強風の侵食による奇岩や洞窟が約1キロメートルにわたって展開する徳之島随一の名所。ダイナミックな景観が多い西海岸の中でもここは圧巻といえ、隆起サンゴ礁が見事にくり抜かれた「メガネ岩」など、自然の造形美がたっぷり堪能できる。
体重約1トンという大型の牛が、直径20メートルの土俵の中で角を突き合わせ激しくぶつかり合う。手に汗握る迫力で見るものを魅了する徳之島の闘牛。島民たちの唯一の娯楽として発達し、500年もの間受け継がれ続けているという。
闘牛は、農作業などで使っていた牛が生来の縄張り意識で争うことから発生したとされる。全国各地に伝えられるが、徳之島のものは“ 一番熱い” と一目置かれる存在だ。突きや角掛け、懐に飛び込む速攻といった技の攻防はもちろん、牛を操る勢子と応援団、そして老若男女を問わずに詰まった観客たちの熱狂渦巻く一体感は圧倒的なのだとか。
大会の開催は年20回以上。基本は体重別で、全島統一チャンピオンを決める無差別級の闘いもある。