【2022年9月9日】
旅の楽しみは人それぞれですが、ここ数年の社会情勢の影響もあり、旅行への価値観も少しずつ変わりつつあるようです。それでも本音は「やっぱり旅に出たい!」「旅先で感動を味わいたい!」。そんな今だからこそ求められている旅とは一体どんな旅なのでしょうか?旅のプロであるクラブツーリズム(株)関西テーマ旅行センターの皆さんにお聞きしました。



北陸といえば食!
秋~冬に旬を迎える日本海の幸
第3回は、北陸エリア(富山県、石川県、福井県)への旅についてお話をお聞きしました。
「冬はやはり食のイメージが強い気がしますね。私どもが秋~冬にかけて作るツアーパンフレットでは、表紙に“北陸の食”を押し出した特集を打ったりしています」と藤田さん。3県すべて日本海に面していることもあり、旅のお目当ては何といっても海の幸で、「やはりカニですね。ズワイガニは福井県では越前ガニとして知られています。それから氷見(富山県)の寒ブリ。北陸の魚は何でも美味しいのですが、ノドグロも美味しい季節です」。
藤田さんたちは、今まさに食がテーマの北陸ツアーを企画しているところだそうです。「たとえば富山の完全予約制になっている料亭でカニをいただくコースであるとか、のと鉄道(石川県)の『のと里山里海号』の中で食事を楽しんでもらうコース、金沢には洋食の名店も多いので、それを堪能するコースなど、おすすめしたいコースがたくさんあります」。
また、金沢は和菓子文化が花開いた町であり、スイーツの店が多い土地柄でもあります。
「もちろん和菓子作り体験などもできますよね」と藤田さん。しかし何といっても北陸の食の王者はカニ!なのだそうです。

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アートならば金沢!
能登には知る人ぞ知る演劇堂が!
このエリアの文化について藤田さんは、「北陸全体ではないかもしれませんが、金沢があるので伝統工芸や美術が魅力ですよね。最近は新しい美術館なども出来てきていますので、アートをテーマにしたツアーを作りやすいエリアです」。人気の金沢21世紀美術館はもちろん、2020年以降には東京から移転した国立工芸館をはじめ、話題の新ミュージアムが続々とオープンしています。
「あまり一般的に知られていないスポットですと、能登演劇堂の観劇ツアーというのを作っておりまして。これが割とよくお客さんが集まっているんです」と藤田さん。七尾(石川県)郊外にあるこの演劇ホールは、「非常に凝った造りで、舞台の後ろの扉が開いて外の風景が見えるんです。能登の自然を背にして、たとえば夕陽の時間に合わせて開演するとか」。ツアーでは毎年秋に上演される仲代達矢氏主宰の劇団・無名塾による公演を観劇。
能登でしか味わえない芸術体験とともに、白米千枚田や輪島朝市などの名所をめぐります。
さらに藤田さんは、北陸を旅して芸術に接する機会は多いと言います。「ツアーの料理は海の幸がメインですが、お店によっては輪島塗や九谷焼のお皿に食材が盛られて出てくることもあります。器を愛でるのも旅の魅力のひとつですね」。


町の喧噪から離れて…。
寺社仏閣や集落にも注目
「北陸3県をまとめて共通のものと言えるかどうかわかりませんが、永平寺(福井県)などがあるように、個人的には神社仏閣のイメージもあります」と言うのは栗田さん。永平寺と同じ曹洞宗のお寺ですと、富山県高岡市には瑞龍寺という国宝寺院なども。いずれもスケールの大きな伽藍を持つのが特長です。
「歴史的なところでいいますと、戦国時代の一乗谷朝倉氏遺跡(福井県)があったり、五箇山合掌造り集落(富山県)とか、独特の歴史風景を見られることが魅力としてありますね」。特に五箇山は、冬になるとまるでお伽話のような幻想的な雪景色が見られることもあります。
北陸の歴史スポットは、たとえば京都などの洗練された観光地とはひと味違う、時代をタイムスリップしたような素朴さが感じられます。そのぶん、主要駅から離れて少し遠い印象もあるのですが、「それは逆に魅力的なところ。町の喧噪から離れるという意味で。でも実は、関西からだと特急サンダーバードが頻繁に出ているので非常にツアーを作りやすいんですよ」と藤田さん。
田岡さんは、「北陸は関西からすごくアクセスしやすい場所であり、歴史の宝庫だと思います」と言います。

好評!北陸の城。
城の魅力は天守閣だけにあらず
田岡さんが推すのが、北陸の城めぐりです。「加賀百万石の金沢城があって、現存天守が残る丸岡城(福井県)や、先ほど話が出た一乗谷朝倉氏遺跡、あとは七尾城(石川県)という巨大な山城もあるんです」。田岡さんはこれらを含めた7つの城をめぐる北陸7名城めぐりツアーを企画し、追加設定が出るほど好評なのだとか。
丸岡城以外は天守のない城ですが、「日本にはたくさん城がありますが、天守が残っている城って実は少ない。定番の城に行ったお客さんが次に行きたいのは、石垣の名城だったり、凄い堀があるとか、そんな所に感動されます。そういう意味でも北陸の城は魅力的なんです」。
七尾城も天守はありませんが、標高約300メートルの山全体が城郭という圧巻のスケールで、上杉謙信もなかなか落とせなかったという知る人ぞ知る名城。「本丸からの景色は絶景ですね。特に秋ぐらいが最高です。春夏は虫が出たり、冬は雪もありますので、秋がベストシーズンです」と田岡さん。江戸時代以降にできたきれいなお城とはまた違うロマンがあると言います。「北陸は織田信長や羽柴秀吉、柴田勝家、前田利家、朝倉氏など戦国武将たちが実際に戦った場所で、城もたくさんありますし、史跡もたくさんあります。歴史の宝庫なんです」。
食でも芸術でも歴史でも、全国の王道観光地にひけをとらない珠玉の旅先が、北陸エリアには数多く存在しています。

