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  4. 『サライ』編集長 ぶらり旅 佐賀・長崎・熊本編(2泊3日)

サライ編集長 ぶらり旅 佐賀・長崎・熊本編(2泊3日)西九州新幹線で佐賀・嬉野温泉と長崎を訪ね、各地のスイーツを満喫。長崎・島原からフェリーで熊本へ

【2022年11月18日】

アクティブシニアに向けた生活情報誌『サライ』編集長・三浦一夫の「ぶらり旅」。本年9月23日に開業した西九州新幹線で嬉野温泉(佐賀県)と長崎を訪ね、雲仙から島原と島原半島を横断。さらにフェリーで熊本へ渡るという九州3県にまたがる、鉄道、バス、船を使った2泊3日の旅である。各所を巡る長距離の移動にもかかわらず、宿泊以外の予定はほとんど決めずにやってきた気ままな三浦編集長である。さて、どんな道中になったことやら。

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●1日目
【嬉野温泉】博多駅から
「日本三大美肌の湯」嬉野温泉へ

新大阪から山陽新幹線に乗り、博多経由で武雄温泉駅からは西九州新幹線で嬉野温泉駅までやってきた三浦編集長。鉄道ファンの編集長として西九州新幹線は、早く乗りたかった新線である。「武雄温泉から5分ほどでしたが、新しい新幹線に乗るとわくわくします。嬉野温泉にはこれまで駅がなかったので、博多方面からずいぶん来やすくなりましたね」(三浦編集長)。まだピカピカの駅を降り、街の散策に出かけた。

西九州新幹線の開業とともに誕生した嬉野温泉駅。新幹線だけの単独駅だ。

嬉野温泉駅から温泉の中心街までは約2㎞、タクシーを使えば5分前後で到着する。「嬉野温泉は日本三大美肌の湯と呼ばれていますが、ひとつは喜連川温泉(栃木県)、あとひとつは玉造温泉(島根県)だったかな?」とつぶやく三浦編集長。
確かに玉造温泉も美肌の湯として知られているが、正解は島根県の「斐乃上温泉」(ひのかみおんせん)である。嬉野温泉の泉質はナトリウムを多く含む重曹泉で、美肌効果があるとされる。公衆浴場の「シーボルトの湯」の周辺には、気軽に利用できる足湯施設などがある。

塩田川に建物を映す、嬉野温泉公衆浴場「シーボルトの湯」。大正ロマン風のゴシック建築の浴場は2010年に開館した。

シーボルトの湯
入浴料:大人420円
開館時間:6時~22時(最終入館は21時30分)
休館日:第3水曜日(祝日の場合は翌日)
電話:0954-43-1426
佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙818-2
https://www.city.ureshino.lg.jp/kanko/siebold.html新規ウィンドウで開きます
(嬉野市ホームページ)

嬉野市吉田地区は肥前吉田焼の窯元が集まる。この地は江戸時代より蓮池藩主の奨励で磁器産業が栄え、400年以上にわたり焼き物の産地として知られてきた。ここで三浦編集長が目を付けたのが「吉田皿屋トレジャーハンティング」である。「トレジャーハンティング」とは「宝探し」の意。明治元年から焼き物を扱っている卸商社のヤマダイが、倉庫に眠る年代ものの陶磁器を大放出しているのである。まず、受付で小の袋(5000円)か大のカゴ(1万円)を選ぶ。それから、数々の陶磁器が積まれた会場に入り、気に入った器をどんどん詰めていく。焼き物詰め放題の制限時間は90分、肥前吉田焼をはじめ有田、伊万里、波佐見などの焼き物も混じり、なかにはお宝が隠れているという。

小の袋を手に三浦編集長は『サライ』のトレードマークでもあるラクダが描かれた器を見つけると「全部買い占めたい」と興奮気味だ。店の神近絹子さんは「袋からはみ出しても持てるだけ詰められますよ」という。詰め終わった焼き物は、用意された梱包材で各自が包む。着払いの宅配便で送ることもできる。

袋いっぱいにラクダが描かれた器を詰めてご満悦の三浦編集長とヤマダイの神近さん。/ヤマダイ(旧大渡商店)。

ヤマダイ
「吉田皿屋トレジャーハンティング」は前日17時まで要予約
電話:0954-43-9214
佐賀県嬉野市嬉野町吉田丁4051
https://owatari.com/新規ウィンドウで開きます

嬉野の茶畑を散策

嬉野といえばお茶が有名だ。「吉田皿屋トレジャーハンティング」で昂ぶった気持ちを、おいしいお茶で静めたい。嬉野では近年「ティーツーリズム」という新しい観光が始まった。茶農家、窯元、自転車店などが連携し、お茶をキーワードに嬉野の各所を移動し愉しんでもらおうという試みだ。そんな拠点のひとつである副島園本店を訪問した。ここは、嬉野の地で四代続く茶農家である副島園の茶葉販売の本店。併設された茶寮では、希少な茶葉の茶を極上の甘味とともにいただくことができる。

副島園茶寮で一服いただく。

茶寮では「嬉野玉緑茶」(煎茶)を3煎、それぞれ違った淹れ方で愉しめる。1煎目は冷水で3分煎じると、甘みと旨味が交差する。2煎目は70℃の湯で2分煎じ、甘みを残しながらもスッキリとした味わい。ここで菓子が出てくる。3煎目は玄米を追加し、70℃の湯で2分煎じると香ばしさが漂う。同じ茶葉でも淹れ方により、それぞれに味わいが際立つ。「お茶という飲み物の奥深さを知りました。マカロンともよく合います」(三浦編集長)。

3煎までいただける「嬉野玉緑茶」1320円。羊羹が付く。奥は「和多屋別荘 限定マカロン」3種。左から「ほうじ茶マカロン」「玄米茶マカロン」「煎茶マカロン」で1個351円。

副島園本店茶寮
営業時間:10時~19時(ラストオーダー18時30分)、年中無休
電話:0954-42-0210
佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738 和多屋別荘内
https://wataya.co.jp/facility/soejimaen新規ウィンドウで開きます

●1日目
【嬉野温泉】宿泊案内「大正屋」

嬉野温泉の宿は、1925年(大正14)創業の老舗旅館「大正屋」。皇居新宮殿の基本設計を手がけた、吉村順三(1908-1997年)による名建築の宿で、温泉で旅の疲れを癒やしたい。

嬉野温泉の老舗旅館「大正屋」。/有名な陶芸家の作品が陳列されたロビーで寛ぐ。/大空間で開放的な「四季の湯」。

大正屋
料金:1室2名利用で1泊2食付きひとり1万8150円など各種のプランを用意
電話:0954-42-1170
佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙2276-1
https://www.taishoya.com/taishoya/新規ウィンドウで開きます
写真提供:大正屋


【 1日目 参考行程 】

  • 新大阪8:04
  • (山陽新幹線さくら547号)
  • 10:38博多10:52
  • (リレーかもめ21号)
  • 11:55武雄温泉11:58
  • (西九州新幹線かもめ21号)
  • 12:04嬉野温泉
  • 大正屋泊

●2日目
【長崎】西九州新幹線で長崎へ。
路面電車で異国情緒あふれる街を巡る

翌朝は西九州新幹線「かもめ」で一路長崎へ。僅か30分足らずで嬉野温泉から長崎に行けるようになった。列車名に「鴎」(かもめ)が付けられたのは、戦前の1937年(昭和12)のこと。戦後は関西と九州を結ぶ特急として活躍、近年はJR九州で主に博多~長崎間を結ぶ特急として親しまれてきた。そんな伝統の名が西九州新幹線を走る列車の愛称に引き継がれた。

嬉野温泉駅より長崎行き「かもめ」に乗車。/指定席は通路を挟んで2席ずつのゆったりとしたシート。しばらく走ると車窓に長崎の街が見えてきた。

長崎の街巡りには、JR長崎駅前から路面電車(長崎電気軌道)を利用すると便利だ。電停には「めがね橋」「新地中華街」「大浦天主堂」「平和公園」など、市内の観光スポットの名が付けられているものが多く移動の目安になる。乗り降り自由の「電車一日乗車券」(600円)を買っておくと便利。三浦編集長にとって路面電車に乗るのもこの旅の大きな目的だ。「路面電車はクルマの通行に邪魔だと次々に廃止されていった歴史がありますが、長崎ではうまく共存しています。現在、路面電車は都市交通として改めて注目されているんですよ」(三浦編集長)

路面電車を運行する長崎電気軌道は1915年(大正4)に運行を開始。1945年(昭和20)8月9日の原爆投下により壊滅的被害を受けるが、同年11月から翌年2月にかけて復旧し運行再開する。現在は4つの系統に39の電停があり、市内中心部の足として市民や観光客に親しまれている。/運賃は乗車区間に関わらず140円均一で「全国相互利用交通系ICカード」が使える。「電車一日乗車券」は600円。JR九州管内のみどりの窓口、観光案内所、沿線のホテルのフロント、長崎電気軌道営業所などで発売。手前の「車掌バッグ」は三浦編集長の愛用品。

長崎駅前から路面電車で向かったのは眼鏡橋だ(「めがね橋」下車)。1634年(寛永11)に、興福寺の黙子如定(もくすにょじょう)禅師が架設したとされる。中島川の川面に映る影が「メガネ」に見えることから名がついた。水位が低いときは水際を散歩できるので、川縁に降りて橋を眺めるのも一興だ。

川面に双円を描く眼鏡橋。国の重要文化財に指定されている。路面電車の「めがね橋」より徒歩約3分、同「市民会館」より徒歩約4分

長崎に来たらグラバー園はぜひ訪ねたい。旧グラバー住宅を始めとする幕末・明治期の洋館が見学でき、居留地時代の歴史に触れることができる。旧グラバー住宅の持ち主だったトーマス・B・グラバーはスコットランドに生まれ、1859年(安政6)にジャーデイン・マセソン商会の一員として長崎に来た。のちにグラバー商会を創立し、日本から日本茶や樟脳などを輸出。日本南西部の各藩が欲しがった蒸気船や銃器などを輸入する貿易商人として活動した。グラバーは1863年(文久3)に邸宅を建てるとそこに暮らした。旧グラバー住宅の中を見学すると、当時のモダンな暮らしぶりをうかがうことができる。「異国情緒が味わえる有名な観光スポットですが、ここから望む長崎港の眺めは見事です。長崎にやってきた外国人たちもこの眺望に惹かれ、ここに住まいを構えたのでしょう」(三浦編集長)。

明治維新前の1863年の建築。日本の伝統的建築技法と西洋様式が融合する、現存するわが国最古の木造洋風建築。/園内に立つグラバーの銅像に挨拶。/グラバー園より長崎港を一望。港の向こうにそびえるのは、長崎のランドマークである稲佐山。

グラバー園
営業時間:8時~18時(通年スケジュール、最終入園は閉園20分前)
年中無休(時期により夜間開園期間あり)
入園料金:大人620円
電話:095-822-8223
交通:路面電車「大浦天主堂」下車徒歩約7分
長崎県長崎市南山手町8-1
https://glover-garden.jp/新規ウィンドウで開きます

グラバー園の帰りに路面電車の「メディカルセンター」で下車。三浦編集長がぜひ見たいものがあるという。
「今年は鉄道150年ということで『サライ』11月号でも大特集を組みましたが、「鉄道発祥の地」の記念碑が長崎にあります。1872年(明治5)の新橋~横浜間が日本の鉄道の始まりといわれていますが、それより前に長崎で蒸気機関車が走ったのです」(三浦編集長)。慶応元年(1865)、トーマス・B・グラバーがここから松ヶ枝橋の方向にレールを敷き、英国製の蒸気機関車を走らせた。グラバーは、日本の鉄道の黎明期にも関わっていたのである。

メディカルセンターの前に立つ「我が国 鉄道発祥の地」の記念碑。「これが見たかったんです」と感慨に浸る三浦編集長である。

気がつけば昼時を過ぎた。坂道の多い長崎を歩くとお腹も減る。「ちゃんぽんを食べましょう」という三浦編集長は長崎新地中華街にやってきた。横浜・神戸と並ぶ日本三大中華街のひとつで、この一角に中華料理店をはじめ約40件が軒を連ねる。

長崎新地中華街。もとは、江戸時代中期に中国からの貿易品の倉庫を建てるために作られた埋め立て地であった。路面電車「長崎新地中華街」より徒歩約1分。

さて、どの店に入るべきか。中華街で「新地製麺」という中華麺の製造販売所を見つけると「ちゃんぽんのおいしい店を教えてもらおう」と三浦編集長。同店の趙弘隆さんは突然の訪問に快く対応してくれた。そこで教えてもらったのが「老李」(ラオリー)である。

「老李 長崎中華街 総本店」の「元祖 生からすみちゃんぽん」1090円(平日昼)、1200円(夜と土日休)。具材のちくわは昔ながらの伝統製法を守る「赤田竹輪店」のものを使用。

店の名物は「元祖 生からすみちゃんぽん」。鶏ガラを使った鶏白湯スープに生のからすみが風味を加える。このスープに新地製麺の中華麺がからむと独特の香りが立つ。同店の甲斐田周作さんによると「麺に使われている唐あくがスープとよく合う」という。「唐あく」とは中華麺に使われるかん水の一種だ。新地製麺の中華麺は「唐あく」のバランスが絶妙という。おいしいちゃんぽんを、地元の麺が支えている。

老季 長崎中華街 総本店
営業時間:11時30分~14時30分ラストオーダー/17時~21時30分ラストオーダー
定休日:年始年末
電話:095-820-3717
交通:路面電車「長崎新地中華街」下車徒歩約5分
長崎県長崎市新地町12-7
https://www.laolee.jp/新規ウィンドウで開きます

三浦編集長が長崎土産にと迷わず買ったのが、岩永梅寿軒のカステラだ。歌手のさだまさしさんが子どものころからよく食べていたというカステラは、地元の人にも愛されている。岩永梅寿軒は1830年(天保元)創業の老舗。厳選した鶏卵、砂糖、小麦粉、水飴が原料。生地を型に流し込み1時間かけて焼き上げると木箱に移し、ひと晩休ませることで味が深まる。

「カステラは庖丁やナイフで切らず、手でちぎって食べるのがおいしいと聞きました。贅沢な食べ方ですね。帰ったら試してみましょう」(三浦編集長)

「長崎カステラ1号」1782円。ほぼ予約販売の限定品。未開封の賞味期限は10日間。

岩永梅寿軒
営業時間:10時~16時
店休日:日曜、火曜、木曜(火曜、木曜は不定休)
※営業時間と店休日は変更になる場合あり
電話:095-822-0977
交通:路面電車「めがね橋」下車徒歩約5分
長崎県長崎市諏訪町7-1
https://www.baijyuken.com/index.html新規ウィンドウで開きます

長崎の見処と味処を満喫、JR長崎駅前に戻り長崎県営バスで雲仙に向かう。

●2日目
【雲仙】宿泊案内「雲仙観光ホテル」

三浦編集長が雲仙まで足を伸ばしたのは、泊まりたい宿があったからだ。それは雲仙観光ホテル。1935年(昭和10)に開業した、わが国を代表するクラシック・スタイルのホテルである。外国人観光客を誘致するために建てられた。豪華客船をイメージした館内には、客室、メインダイニング、バー、ショップ、図書館、ビリヤード場、硫黄泉浴室が男女1室などを完備。たとえ1泊でも「ホテルで暮らす」という優雅な時間を体験することができる。

アプローチの正面にクラシカルな建物がのぞく。/「お帰りなさいませ」と、第2のわが家のようなもてなしを受ける。/豪華客船をイメージした館内。/アールデコ調で統一された温泉浴場。/ディナーの一例。地元の旬の食材を使いシェフが腕を振るう。写真提供:雲仙観光ホテル

雲仙観光ホテル
料金:1泊2食付きスタンダードプラン ひとり4万2500円など
電話:0957-73-3263
長崎県雲仙市小浜町雲仙320
https://www.unzenkankohotel.com/新規ウィンドウで開きます
写真提供:雲仙観光ホテル


【 2日目 参考行程 】

  • 嬉野温泉10:07
  • (西九州新幹線かもめ13号)
  • 10:31長崎
  • 路面電車で市内を散策
    長崎駅前16:10
  • (長崎県営バス/長崎―雲仙線)
  • 17:50小地獄入口→雲仙観光ホテル泊

●3日目
【雲仙~島原】雲仙の「地獄」を巡り
島原の乱の舞台となった城下を訪ねる

早起きして雲仙の地獄を巡る。

旅の最終日は島原からフェリーで熊本に渡り、熊本を観光し九州新幹線と山陽新幹線で帰途につく。今回の旅程ではもっとも長い距離の移動となるため、チェックアウトは午前8時である。その前に、雲仙に来たらぜひとも「雲仙地獄」を見ておきたい。朝が苦手な三浦編集長も頑張って早起きをした。

足を踏み入れるとあたりには硫黄のにおいが立ちこめ、荒涼とした岩場が続く。地の底から蒸気が吹き出し目前の視界を奪う。「地獄はこのようなところなのだと考えられてきたのでしょう。迫力のある光景が迫ってきます」(三浦編集長)。「雲仙地獄」は大叫喚地獄やお糸地獄、清七地獄など30余りの「地獄」からなり、キリシタン殉教の殉職碑も建てられている。景色は荒々しいが遊歩道が整備されて歩きやすい。通常は60分ほどかかるところを駆け足で巡り、ホテルに戻り島原へ向かうタクシーに乗り込んだ。
※2021年8月に発生した土砂災害のため、立ち入り禁止のエリアがある。

島原城では「島原城七万石武将隊」が迎えてくれた。400年前に島原半島で活躍した武将の面々である。

1616年(元和2)、大和五条(奈良県)から島原に移封した松倉豊後守重政が、7年余の歳月を費やして築いたのが島原城。松倉氏、高力氏、松平氏、戸田氏、松平氏と4氏19代にわたり253年間の居城であったが、1874年(明治7)に廃城となった。1964年(昭和39)に天守閣や櫓が復興し、安土桃山様式の壮麗な面影を残す。現在は天守閣内がキリシタン資料館になり、島原のキリシタン迫害の歴史が貴重な資料とともに展示されている。

今回は特別に「島原城七万石武将隊」に展示の解説をしていただいた。「武将隊のひとりである、天草四郎時貞から自身の受難の様子を聞くというのも不思議なものですが、解説はとてもわかりやすく勉強になりました」(三浦編集長)。フェリーの出航時間が迫る中、1時間にも満たない滞在であったが、400年前に島原で起きたことが胸に迫る。

武将隊がひとつひとつの展示を分かりやすく解説してくれる。/キリシタン受難の象徴「踏み絵」の展示。

島原城
開場時間:9時~17時30分、年中無休
入館料:大人550円
電話:0957-62-4766
長崎県島原市城内1丁目1183-1
https://shimabarajou.com/新規ウィンドウで開きます
※2023年2月28日まで天守閣は外装を改修中。期間中も館内の見学や城内の散策はできる。

●時間に余裕があれば味わいたい、地元のスイーツ「かんざらし」

「銀水」では店の脇にこんこんと湧く「浜の川湧水」を使っている。

「島原城七万石武将隊」の面々から「甘味が好きであれば、ぜひとも行かれたい」とすすめられたのが、地元で広く食べられてきた「かんざらし」の名店「銀水」である。ここは後日、スタッフが取材した。
「かんざらし」とは白玉を甘い蜜とともにいただく甘味で、それぞれの家で、それぞれの味があるという。現在は島原市内に「かんざらし」を提供する店は54軒あるが、1915年(大正4)に開業した「銀水」はその発祥の地である。湧水と特製の蜜でいただく「かんざらし」は、優しい甘さでするっと食べられる。蜜にはなにが入っているのかと、「銀水」の笹田克子さんに聞けば「それはひ蜜」だと笑う。

「かんざらし」550円。

銀水
開店時間:9時~18時、飲食は10時~17時(ラストオーダー16時30分)、年中無休
電話:0957-63-4610
長崎県島原市白土桃山2丁目1093
https://www.city.shimabara.lg.jp/page3470.html新規ウィンドウで開きます
(島原市ホームページ)

●3日目
【熊本】高速カーフェリーで熊本へ。天守閣が復旧した熊本城で知人と再会を果たす

島原港から熊本港へは「オーシャンアロー」に乗船。約30分の船旅だ。島原半島の眉山と平成新山がみるみる遠ざかっていく。

島原港から熊本港までの直線距離は21㎞、そこをクルマ並みの時速約55㎞で結ぶ高速カーフェリーが「オーシャンアロー」だ。1998年(平成10)に就航、従来は約60分かかっていた所要時間を半分の約30分に縮めた。現在は1日7便(往復14便)が島原港と熊本港を結ぶ。「島原からは熊本がよく見えました。30分程度で熊本に渡れるのですね。陸上の移動ばかり考えていたら、島原から熊本に回るルートは思いつかなかったと思います」(三浦編集長)。

熊本港に着岸した「オーシャンアロー」。港から市内中心部は連絡バスがつなぐ。/宇土櫓の左奥に2021年に復旧した熊本城天守閣を望む。

2016年(平成28)4月14日、熊本県を襲った熊本地震は県内に深刻な被害を与えた。熊本のシンボルである熊本城も天守閣をはじめ多くの建造物が倒壊、破損し、石垣も全体の1割強が崩落するなど大きな被害を受けた。2021年(令和3)3月、復旧を最優先で急いだ天守閣が完全に復興し、熊本の人々を勇気づけた。今も復旧工事は続く。石垣などを含む全体の復旧は2037年(令和19)といわれている。

倒壊を免れた宇土櫓(五階櫓)は、今年10月より解体保存工事が着手される。2023年(令和5)秋頃には高さ46mの鉄骨の「素屋根」に覆われ、櫓の解体作業に入る予定だ。復旧までは約10年かかるとのことで、今の雄姿を観られるのはあと少しの期間になりそうだ。

三浦編集長は熊本で会いたい人がいた。熊本で観光ボランティアガイドを務める、吉村徹夫さん(73歳)だ。吉村さんは熊本地震の年に『サライ』の人気連載「サライ・インタビュー」に登場、「負けんばい、熊本!」という見出しとともに、再開した観光ガイドの様子などを掲載した。その取材に三浦編集長も同行していた。

再会の場所は、日本料理の「城見櫓」である。ここからは復興された熊本城の天守閣がよく見える。熊本のシンボルを眺めながら、会席料理をいただく。「吉村さんは6年前と変わらず、ますますお元気。いまもエネルギッシュに観光ガイドを続けておられますね」(三浦編集長)。修学旅行なども再開され始め、吉村さんは目の回るような忙しさだという。ボランティアでガイドを続けているのも「もっとたくさんの人に熊本のよかとこを知ってもらいたいから」(吉村さん)という。

「城見櫓」の展望スペースで再会を喜ぶ、三浦編集長と吉村さん。/いただいた「特別会席」の一部。メインは「あか牛の陶板焼き」(写真奥)。熊本名物の「霜降り 馬刺し」、「季節野菜の紅葉焼き」なども供された。

城見櫓
開店時間:11時30分~15時、17時~21:30(ラストオーダー21時)
定休日:不定休(年末年始、お盆期間、メンテナンス期間)
※全フロア前日までの予約制
電話:096-356-1146
熊本県熊本市中央区花畑町1-10 熊本城長塀前
https://www.shiromiyagura.com/新規ウィンドウで開きます

吉村徹夫さんが所属する「熊本よかとこ案内人の会」
https://www.k-yokatoko.com/index.html新規ウィンドウで開きます

熊本では吉村さんが観光ガイドを引き受けてくれた。三浦編集長と向かったのは水前寺成趣園。水前寺成趣園は、肥後細川家の文化を伝える大名庭園である。桃山式の優美な回遊式庭園で、清らかな湧水の庭園を好んだ夏目漱石の句碑も立つ。園内の出水神社にお参りをし、阿蘇火山系がたくわえた伏流水が湧き出る境内の「長寿の水」を飲んでみる。

出水神社社殿。旧細川家家臣たちが藩主を祀るため1877年(明治11)に創建。/「長寿の水」を飲む。「長生きできそうです」と三浦編集長/庭園にたたずむ「古今伝授之間」。写真提供:古今伝授の間 香梅

旅の締めくくりに、水前寺成趣園にある「古今伝授之間」(こきんでんじゅのま)で抹茶と熊本銘菓「加勢以多」(かせいた)をいただく。古今伝授とは「古今和歌集」の解釈の奥義を口伝えで伝授することをいう。1600年(慶長5)に、この建物で細川家初代の幽斎公(細川藤孝公)が、後陽成天皇(ごようぜいてんのう)の弟宮の八条宮智仁親王(はちじょうみやとしひとしんのう)へ古今伝授を行なったことから、「古今伝授之間」と呼ばれるようになった。

「庭を望む茶室で静かに抹茶をいただいていると、旅の疲れが溶けていくようです。ここから眺める庭もきれいですね。旅の最後までスイーツを食べてしまいしました(笑)」(三浦編集長)

明日からはまた多忙な日々が始まる。三浦編集長の「ぶらり旅」はいよいよ帰りの新幹線に乗るだけとなった。

抹茶と「加勢以多」のセット。座敷席は700円。椅子席は600円。写真提供:古今伝授の間 香梅/水前寺成趣園の見事な庭園美に浸る。

古今伝授の間 香梅
営業時間:9時~17時(11月~2月)、9時~17時30分(3月~10月)
店休日:第2火曜日
電話:096-381-8008
熊本市中央区水前寺成趣園内
https://kobai.jp/kokin/新規ウィンドウで開きます

【 3日目 参考行程 】

  • 雲仙観光ホテル8:20
  • (タクシー)
  • 9:50島原城
    島原港10:15
  • (オーシャンアロー)
  • 10:55(下船完了予定時刻)熊本港11:10
  • (連絡バス)
  • 11:39熊本駅前

※熊本市内は路面電車(熊本市電)で移動
「熊本駅前」から「熊本城・市役所前」まで15分→城見櫓まで徒歩約2分
「熊本城・市役所前」から「市立体育館前」まで18分→出水神社、古今伝授之間まで徒歩約5分
「市立体育館前」から「熊本駅前」まで35分

  • 熊本18:04
  • (九州・山陽新幹線さくら568号)
  • 21:28新大阪

※感染防止対策を徹底したうえで取材を実施しました。
※新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえで撮影時等、必要な場合のみマスクを外して撮影しました。

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