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食も景色も感動の連続。また来たくなる冬の富山&岐阜の旅

【2023年2月3日】

吉田 さらさ 寺と神社の旅研究家

女性向け雑誌で長年編集に携わったあと、全国各地の寺巡りをし、神社、寺、仏像、宿坊などをテーマとした単行本や雑誌記事を執筆。近年は、寺社に限らず、アート鑑賞、クラシック音楽、グルメなども含めた旅情報を発信することが多い。

富山県の日本海側から岐阜県山間部へ。このエリアにはこれまでも何度か行ったことがありますが、12月に訪れるのは今回がはじめてです。冬の北陸と言えば海の幸、そして美しい雪景色。期待いっぱいで新幹線の富山駅に降り立ちました。

1日目午前:新湊きっときと市場

大きなカニの看板が特徴的な「新湊きっときと市場」。

「このシーズン、富山に来たらまずカニでしょう」ということで、まずは富山市のお隣の射水市にある新湊きっときと市場に向かいました。こちらは富山湾の真ん中にある大規模な観光施設で、魚介類を食べさせてくれるレストランと、鮮魚や加工品を買えるお土産屋さんがあります。富山では、魚介類の新鮮さを「きときと」という言葉で表現しますが、「きっときと」はさらに感情がこもったときの表現です。

さっそく、市場内のきっときと亭で、ご自慢の「カニ会席」をいただきましょう。カニの仕入れ状況によってお値段が変わるそうで、この日は3850円。カニだけではなく、白エビのから揚げや寒ブリのお刺身など、富山湾の幸が勢ぞろい。カニはぎゅっと身がしまって味が濃いです。

きっときと亭の「カニ会席」。白エビの天ぷらもブリのお刺身も絶品です。「高志の紅ガニ」の顔出し看板で記念撮影。

こちらのカニには「高志の紅ガニ」という特別な名前があります。高志というのは富山あたりを指す古い地名、紅ガニとは紅ズワイガニのことで、県内の漁師さんによって水揚げされたものだけがその名称で呼ばれるのです。「ホタルイカ」、「白エビ」、「ブリ」に続く富山湾第4のスターを目指して、ただいま絶賛PR中。


富山湾の魚介類がこれほど豊富で美味しいのには深いわけがあります。富山湾のすぐ近くには3000m級の立山連峰があり、きれいな雪解け水が一気に海に流れ込んできます。一方で海はすぐに深くなり、深さ1000m以上の海底谷がいくつもあります。そこに流れ込んだ水が魚の餌となるプランクトンなどをはぐくみ、天然のいけすとなります。そして、そこで獲れたきっときとのカニが、新湊の漁港で競り落とされたあとすぐ、市場の入口付近で茹で上げられます。その場で選んで宅配してもらうことも可能なので、茹で上がりを待つ人がたくさんいました。

カニを茹でたり素早く仕分けたり、プロの技を間近で見られるのも楽しい時間でした。

※昼競りは12時30分からで、事前予約すれば見学も可能ですが、悪天候等により中止となることがあります。

●新湊きっときと市場
住所:富山県射水市海王町1
電話:0766-84-1233
営業時間:9:00〜17:00(時期により異なります)
休業日:年中無休

1日目午後:海王丸パーク

富山湾にたたずむ帆船海王丸。その奥には立山連峰が見えるととても綺麗です。

新湊きっときと市場付近は富山湾の風景がひときわ美しいところなので、食後に少し散歩してみました。優雅な帆船が浮かんでおり、その向こうに冠雪した立山連峰が見えます。世界中の風光明媚な湾が登録されている「世界で最も美しい湾クラブ」という団体があり、国内では5か所が加盟しており、その1つだとか。

窓口でチケットを買えば、帆船は内部見学もできます。海王丸という名前で、商船学校の練習船として昭和5年(1930年)に誕生しました。その後59年間に渡って106万海里(地球約50周)を航海し、優秀な船員さんをたくさん育てたとのこと。

歴史を感じる船内は、撮影したくなるスポットもいっぱい。

この船ができたのは、かのタイタニック号が最初で最後の航海をしてから、およそ20年後。比較的時代が近いせいか、映画タイタニックに出てきた船を思い出させる場所もあります。今にも若き日のディカプリオ様が降りて来そうな古めかしい階段も発見しました。

●海王丸パーク
住所:富山県射水市海王町8
電話:0766-82-5181(公益財団法人 伏木富山港・海王丸財団)
営業時間:9:30~17:00(季節によって異なります)
定休日:水曜日(祝日の場合は翌木曜日)、年末年始
料金:乗船料:大人(高校生以上)400円、子供(小・中学生)200円 ※海王丸パーク内は入場無料

1日目午後:川の駅新湊

射水市の内川エリアは、ノスタルジックな雰囲気でじっくり散策したいスポット。

海の風景だけでなく川の風景も楽しめるのが、ここ射水市のすごいところ。海からほんの少し内陸に入ったところに内川が流れていて、様々なデザインの橋がかかっています。古くから地域の人々の生活に密着した川で、両岸にはどこか懐かしい家並みが。このエリアは「日本のベニス」と呼ばれ、映画やドラマのロケ場所としても人気です。

そして、このエリアにある憩いのスペースが「川の駅新湊」です。カフェ、お土産ショップ、観光案内コーナーがあるので、周辺散策の拠点として利用できます。お祭りで使われる大きな曳山なども展示されており、周辺の魅力をもっと知ることができます。

道の駅ならぬ「川の駅新湊」。近隣に無料駐車場もあって便利です。展示されている曳山の美しさに思わず見入ってしまいます。毎年10月に開催される新湊曳山まつりは、江戸時代から続く地域の伝統行事。

●川の駅新湊
住所:富山県射水市立町1-26
電話:0766-30-2552
営業時間:9:00~21:00(カフェは9:00~18:00)
定休日:毎月第4水曜日(祝祭日の場合は翌日)、カフェは毎週水曜日

1日目午後:国定公園 雨晴海岸

雨晴海岸から見た女岩(めいわ)。日没前に見た景色もまた趣があって感動します。

日没に間に合うように急いで海べりの道を走り、高岡市に入りました。ここは国定公園 雨晴海岸。荒波が押し寄せる海岸と沖にある独特な形の岩が、絵画のような風景を作り出します。遠くに雪を被った立山連峰も見えました。ここで立山が見えるのは1年のうち約3分の1とも言われています。もう夕暮れで雲も多かったのですが、薄紫色に照らされた山々が神秘的で、一瞬の天の恵みのように思えました。

海岸沿いにJR氷見線の線路があり、ちょうど列車もやってきました。暮れなずむ日本海の雪景色の中を走り抜ける列車の図なんて、熱心な鉄道ファンでもなかなか見られないシーンかも知れません。

今度は電車に乗って海岸沿いを走ってみたいと思いました。

●国定公園 雨晴海岸
住所:富山県高岡市太田17
営業時間:0766-20-1547(高岡市観光協会)
※海岸には24時間入れます
※駐車場は、道路を挟んだ向かいの道の駅「雨晴」にあります。

2日目午前:高岡大仏

高岡駅から徒歩で約10分という場所にある高岡大仏。

翌朝はまず、宿のすぐ近くの高岡大仏にお参りしました。高岡市は江戸時代初期より鋳物作りが盛んで、とりわけ銅製品の生産では、現在も日本一を誇っています。高岡大仏も銅でできており、奈良の大仏、鎌倉の大仏と並ぶ日本三大仏のひとつです。境内の入り口の左右に立つ金剛力士像も銅製。ポーズや表情が細かく表現されており、技術の高さを感じさせます。

高岡大仏は阿弥陀如来で、像高16m。亡くなった人を極楽に導いてくれるありがたい仏様です。穏やかで気高いお顔をなさっており、かの与謝野晶子さんが、「鎌倉の大仏様よりさらに美男だ」と評されたのも納得できます。

大仏様の穏やかな表情を見ていると何だかホッとします。

大仏様の台座の下には入り口があり、胎内の回廊に入れます。色鮮やかな仏画を見ながらぐるりと後ろに回ると、二代目高岡大仏様のご尊顔があります。今の大仏様は三代目で、この二代目がお顔だけを残して大火で焼けてしまったため、昭和8年に燃えにくい銅製で再建されました。では、一代目の高岡大仏はいつできたのか。13世紀ごろ、源義勝という人がここから少し離れた山中に寺を建て、最初の大仏を造立しました。1609年、加賀藩の前田利長が現在の場所に大仏を遷しましたが、大火により焼失。その後この二代目大仏が再建されたとのこと。つまり、今わたしたちの前にある美男の三代目は、二度の大火から蘇った不滅の大仏様なのです。

こんなに間近で大仏のお顔を眺められます。その大きさが分かりますね。

●高岡大仏
住所:富山県高岡市大手町11-29
電話:0766-23-9156
営業時間:6:00~17:00(台座回廊拝観時間)
料金:志納

2日目午前:菅沼合掌造り集落

思わずうっとりする白銀の五箇山集落。

お参り後は、一路内陸部へ。目的地は五箇山。富山県の南西部にあり、険しい山々に囲まれた豪雪地帯です。この時はまだ降り始めなので60㎝ほどでしたが、例年、2~3mは積もるとのこと。

赤と白の測量ポールが随所にあり、これで積雪の深さを測るそうです。

五箇山は、岐阜県から流れてくる荘川に沿った谷間にあります。その道筋には40ほど集落があり、人々は古くから合掌造りという独特な屋根を持つ住宅で暮らしてきました。天にいらっしゃる仏様に向かって手を合わせるような形のため、合掌造りと呼ばれるのです。1995年、五箇山の相倉集落、菅沼集落、そして岐阜県の白川村萩町の3か所が「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産に登録されました。

今回訪ねたのは、五箇山の集落のひとつである菅沼集落です。三つの世界遺産の中ではもっとも規模が小さく、深い谷底に合掌造りの家屋が9棟あります。駐車場からエレベーターがあり、積雪があっても簡単に集落に降りることができますし、住民の方々が雪かきをしておいてくれるので歩きやすいです。毎日観光客を迎える準備をしてくださる皆さんに頭が下がる思いです。

雪深い場所なので念のため長靴を履いていって正解でした。

集落内には商店や食べ物屋さん、資料館として開放している建物もありますが、基本的には今も住居として使われています。雪国特有の静けさに包まれ、歩いているうちに昔話の世界に引き込まれそうな気分になります。

●菅沼合掌造り集落
住所:富山県南砺市菅沼
電話:0763-67-3008(菅沼世界遺産保存組合)
営業時間:8:00~17:00(4~11月) 9:00~16:00(12~3月) 駐車場入場16:00まで、冬季は15:30まで
定休日:年末年始

2日目午後:白川郷合掌造り集落

展望台から見下ろした白川郷。平日にも関わらずたくさんの人が。

さらに車を走らせ、岐阜県に入ります。ここは白川村荻町を見下ろす荻町城展望台。世界遺産に登録された3つの集落の中では最大規模で、100軒以上の合掌造り家屋があります。住民も多く、民宿、飲食店、お土産屋さん、資料館などの観光施設も充実しており、先に見た菅沼集落とはずいぶん違いますが、決して過度に観光化されているということではありません。集落内には車の乗り入れは禁止、一般住宅の敷地内にはむやみに立ち入らないなどの規則をきちんと守って見学します。

駐車場に車を置き、「であい橋」を渡って集落に向かいます。別世界への入り口のようで、わくわくします。

であい橋は、橋上から大自然を眺められるビュースポット。コンクリート製なので、安心して渡れました。

合掌造りの住宅は、多くが江戸時代末期から明治時代に建てられたものです。住人は主に1階で暮らし、屋根裏は養蚕に利用されました。屋根が大きく急こう配なのは、雪を落としやすい、窓を大きくできて光を取り込みやすいなど、いくつかの利点があります。住居の向きが皆同じなのは、風の抵抗を少なくし、屋根に当たる日照量を調節するためです。夜になるとこの窓に明かりが灯り、絵本のように素敵な風景になります。 これは、合掌集落に宿泊した方だけが見られる合掌造りの窓明かりなので、次はぜひ合掌造りの民宿に一泊してみたいですね。

豪雪地帯で暮らすための知恵が詰まった家々に感動。できたての飛騨牛コロッケは絶品でした。

食べ歩きが楽しいのも、こちらの魅力です。お勧めは飛騨牛のコロッケ。飛騨地方に古くから伝わる郷土食、五平餅もお試しください。

●白川郷合掌造り集落
住所:岐阜岐阜県大野郡白川村荻町
電話:05769-6-1013(白川郷観光協会)
営業時間:8:00~17:00

2日目午後:飛騨 こって牛

風情ある飛騨高山の街並み。

帰りはJR高山線に乗る予定だったので、少しだけ飛騨高山にも寄ってみました。こちらは伝統的建物が保存された古い町並みです。

一度食べてみたかった飛騨牛にぎり寿司。訪れたのは、行列もできる「こって牛(うし)」というお店です。特に観光シーズンは大行列になるそうなので、行列の際は、ここから徒歩3分の場所にある姉妹店「金乃こって牛」に行ってみるという方法もあります。

お目当ての飛騨牛にぎり寿司を注文。作り置きはせず注文直後から調理することで、本当においしいものを提供しようとする姿勢にも感動です。

ちなみに、店名のこって牛とは元気のよい牛という意味で、厳選された飛騨牛の希少部位(飛騨牛料理認定店として最高級の5等級)を使っているため、並んでも食べたいクオリティです。

人気の三種盛り3貫(1000円)。左から竹炭塩、生姜醤油、飛騨牛軍艦。お肉以外にも、お米や塩など素材にすごくこだわっています。

三種盛りは、どれもとろけるようで味付けもそれぞれに美味。以前飛騨高山で食べた最高級ステーキよりも、こちらが気に入りました。街を散策しながら食べられるように、お皿ではなく、あおさ入りのおせんべいにのせてあるのもポイントです。お隣の店舗内の専用スペースで座って食べることもできます。

●こって牛
住所:岐阜県高山市上三之町34
電話:0577-37-7733(予約不可)
営業時間:10:00~17:00
定休日:無休

●金乃こって牛
住所:岐阜県高山市上二之町76
電話:0577-32-0397(予約不可)
営業時間:10:30~16:30
定休日:木曜定休

今回の旅は、これまで何度か行った親しみのある場所が中心でしたが、季節や訪れる時間が変わると視点も変わり、また新たな魅力を発見できました。帆船や日本のベニスなど、初めて行った場所では新鮮な驚きも。次はまた新緑の季節に訪れて、ゆっくり歩いてみたいと思います。

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