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2020.03.31

  • sake

チーズと広島の酒をペアリング
お互いの個性を引き立て合う
新たなおいしさに開眼!
広島“酒”コラム 第七回

日本酒は「合わせるなら和食」というイメージが強いと思いますが、実は洋食でも中華でも、幅広くさまざまな料理と楽しめる包容力のあるお酒です。今回ご紹介するのは、チーズとのペアリング。チーズも日本酒も同じ発酵食品なので、相乗効果でお互いを引き立て合います。広島市内にあるチーズ専門店「フロマジュリー ピノ」のオーナーで、唎酒師でもある木村潤さんに、チーズと日本酒の楽しみ方をお聞きしました。

「フロマジュリー ピノ」のオーナーで唎酒師でもある木村潤さん。

東京やフランスなどでフランス料理を学んだ経験を生かし、2008年に「フロマジュリー ピノ」をオープン。約10年前から広島の酒の魅力や、チーズと組み合わせる意外なおいしさに目覚め、唎酒師の資格も取得。休日には県内各地の酒蔵を訪れ、蔵元と交流し、広島の酒を育む風土に触れています。

10年ほど前からチーズと日本酒の組み合わせをいろいろと試してきた経験や、お客さまの声から感じるのは、「日本酒は、他の酒に比べて受け皿が広く、どんなチーズともよく合う」ということ。幅広い温度帯でおいしく飲むことができるのも日本酒の魅力なので、50度以上のアツアツでも、常温でも、キンキンに冷やした状態でも、それぞれの味わいがあります。さらに、水や炭酸水で割ってもおいしく、酒器によっても風味が変化するという懐の深さがあり、あらゆるチーズに合う可能性を秘めています。

ヨーロッパ各国から輸入したチーズが多い時で約70種類並ぶ『フロマジュリーピノ』。

私がペアリングの際に考慮するポイントの一つは、チーズと日本酒の“余韻の長さ”です。口の中でどちらか一方だけが残るのではなく、同じように持続するものを合わせることで、風味が溶け合い飽きることなく楽しめます。また酸度が高いもの同士、フルーティなもの同士など、共通の要素を持っているものを組み合わせるのも、それぞれの個性がうまく融合するのでオススメです。一方で、塩味を強く感じるチーズに甘味が強めの日本酒を合わせると、刺激が中和され旨味が際立つということもあります。ぜひ、自分好みのペアリングを探して、日本酒の楽しみを広げてもらいたいと思います。

「フロマジュリー ピノ」では、廃業した蔵の日本酒に出合えることも。

木村さんセレクト
広島の酒×チーズ

タンクから搾り出したそのままの「無ろ過生原酒」でありながら、アルコール度数13%台という、飲みやすさ。軽やかでやさしい甘みがあり、スルスルと飲めてしまいます。甘酸っぱい桃の果肉が練り込まれたクリームピーチの、デザートのような華やかさと合わさって、贅沢な余韻が楽しめます。

マンチェゴはスペインを代表するチーズで、脂肪分の高い羊乳特有のクリーミーさとやさしい甘みがあります。スペインでは、カリンのジャムを添えて食べることが多いものです。澱を多く含み、米本来のふくよかな香りと甘味をより深く感じられる生にごり酒とも、相性抜群です。

常温で長期熟成させた純米酒は、常温かぬる燗くらいで米の甘味をじっくりと味わいたいお酒。一般的なゴーダはクセのないチーズですが、26カ月熟成は芳醇な香りと深いコクがあり、濃縮された旨味が特徴的。古酒とともにちびちび味わうと、双方の心地いい余韻が広がります。

フロマジュリーピノ

ヨーロッパ各国から輸入したチーズが、多い時で約70種類も並ぶチーズ専門店。切り立てにこだわり、注文を受けてからその場でカットし、100gから量り売りをしています。奥のレストランスペースでは、フレンチのシェフやパティシエとして経験を積んだ木村さんが、チーズ料理をメインに旬の食材を使った料理を提供しています。お酒はワインやベルギービールを中心に、チーズに合うものが豊富に揃っています。日本酒は広島の地酒のみ。ほとんどが、木村さん自身が蔵を訪れて購入したものなので、蔵の話を聞きながら味わうのも、ここならではの楽しみです。

広島市中区幟町11-1 幟町シールド1F
TEL/082-221-3558
営業時間/11:30~23:00
定休日/月曜

TEXT BY TJ Hiroshima-タウン情報ひろしま

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※写真はすべてイメージです。

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