あつこおねえさんと一緒に考えよう!旅育、何からはじめたらいい?
日本全国を旅するように飛び回るあつこおねえさんと、旅行ジャーナリストの村田和子さんによる、『旅育』をテーマにしたスペシャル対談企画。いつもの楽しい家族旅行を、こどもの貴重な学びの機会に。「こどもの学びや成長につながる、子育て中の親子旅とは?」「すぐにでもはじめられる『旅育』とは?」これからの旅の計画に、きっと役立つヒントがいっぱい。さぁ、あなたも、あつこお姉さんと一緒に、『旅育』やってみよう!
スペシャルゲスト
- 第21代 うたのおねえさん 小野 あつこさん
- 旅行ジャーナリスト 旅育コンサルタント 村田 和子さん
こどもの「好き」を、旅の出発点に。
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お仕事がら、日本全国を訪ねられていると思いますが、プライベートで旅に出かけられることもありますか?
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今でも年に数回は旅行をします。いつもとは違う景色を見たり、旅先で非日常の体験をすると、心身ともにリフレッシュできるのが良いですね。
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たとえば、どんなところに旅をされるのですか?
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美味しいものがあって、自然豊かな場所が好きです。最近は、出発の朝までプランを決めずに、友人と一緒に、その日の朝の気分で目的や行き先を選びながら旅をすることもあります。ガイドブックに載っていない隠れ家的なスポットを見つけるのも楽しいです。
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すごいですね!それはもう、旅の上級者の楽しみ方ですよ。そこでしか出会えない発見こそが、旅の何よりの醍醐味ですよね。私が『旅育』について考えるようになったきっかけも、旅先でしか出会えない景色や体験を通じて、普段とは異なる息子の姿を目にしたからなんです。
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旅先でのお子さんを見て、どんな気づきがあったのですか?
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日常とは違うものに目をきらきらと輝かせ、興味を持ち、「なぜ?何?」と疑問を口にすることが多くありました。答えにたどり着き笑顔を浮かべる息子を見て、「旅が子育てのツールとして効果的なのでは?」と意識するようになったんです。慌ただしい家事や日常から離れて、親子でゆっくり向き合えること、絆が深まることも発見でした。親子で旅を楽しみ、毎回トライ&エラーをして行きついたのが、『旅育』は親子のコミュニケーションが大切ということです。
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仕事や育児で忙しいお父さんとお母さんも、旅先なら自然と心にゆとりが生まれやすいですよね。旅先での出来事が、色々なきっかけやヒントを与えてくれそうな気がします。
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小野さんは、こどもの頃の旅行で、印象深い思い出はありますか?
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家族で行った箱根の旅が特に思い出深いです。ずっと憧れていた駅弁を、初めて駅のホームで買ってもらったんです。家族みんなが、それぞれ好きな駅弁を選んで、電車の中で食べたことを今でもよく覚えています。
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それは素敵な思い出ですね。親が決めるのではなく、こどもが自分で「好き」なものを選ぶというところがポイントですね。旅行も、親が決めて連れていくのではなく、何をしたいのか?こどもも意見を出して、一緒になって計画するのが大切です。『旅育』では親子という縦の関係ではなく「旅仲間」としてフラットに接することが最初の一歩。「旅仲間」ですから、それぞれの意見を尊重するし、役割をお願いすることも出てきます。
旅での経験は、こどもにとって発見の連続。
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実はこの夏、私の祖母が住む沖縄に、友人とそのお子さんと一緒に訪ねる機会があったのですが、初めての土地で、見るもの食べるものすべてに感動しているお子さんの無邪気な姿を見ていると、私までまるで親のような気持ちになってきて、とても嬉しい気持ちになりました。
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旅先では日常と違う発見があり、一つひとつの体験が、こどもにとっては大きな夢や将来につながる可能性を秘めています。もちろん、一緒に過ごす親にとっても、旅を通して気付くことはたくさんあります。
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普段はない色々な体験がきっかけで、こどもの成長に気付かされることも、きっと多いでしょうね。
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私も、旅先で息子の趣味や意外な一面に気が付くことも多くありました。今は趣向を凝らした体験プランが豊富にあるので、『旅仲間』であるお子さんと相談をしてチャレンジしてみるのもいいのでは?そして、貴重な思い出は、かたちに「残す」というのも大切です。
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村田さんは、どのようにして思い出をかたちに残されていたのでしょうか?
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写真ならこどもと選んで印刷し、目につきやすい場所に飾るのがおすすめです。わが家は、旅先から自分へ絵葉書を送るようにしていました。どんなことをしたとか、何が楽しかったとか、ひとこと添えるだけなのですが、あとで見返すと記憶があふれ出します。小さな頃から書き溜めた絵葉書は今も家族の思い出のつまった宝物になっています。
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自分への絵葉書、素敵なアイデアですね。私も次の旅から、はじめてみようかな。
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ぜひ!おすすめです。旅の経験を日常に生かすには、頑張ったことや幸せな家族の時間を繰り返し思い出すことが重要なんです。
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同じ旅行でも、そうしたポイントを意識するのとそうでないのとでは、学べることや感じれられることも大きく変わりそうですね。
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『旅育』は、旅を通してこどもたちの「生きる力」を育むという考え方です。それは「自己肯定力」や「コミュニケーション力」「知恵を育む力」といった、これからの社会を生きるために必要な力です。せっかく親子で旅に出かけるのですから、一緒に計画して、体験して、思い出に残す。結果として絆が深まり学びになる。家族みんなにとって有意義で楽しい旅にしてほしいと思います。
旅の計画や旅先で使える旅のしおり
お子様と楽しみながら、一緒に列車でのおでかけ計画を考えてみませんか。
持ち物などを書いて旅のしおりとしてもお使いいただけます。※個人利用のみ可能。HP・SNSへの転載、再配布などはお断りしております。
こどもと一緒に、のんびり楽しむ電車旅を。
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小野さんは、電車が好きとお聞きしましたが。どんなところが魅力ですか?
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あまり時間に縛られずに、のんびりと過ごせるところでしょうか。気になる駅で途中下車したり、それが気軽にできるのも電車旅の楽しみです。車窓の風景から、その土地ごとの生活や雰囲気が垣間見られるところも好きですね。
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風景の中に生活や土地のにおいが伝わる感じ、よくわかります。電車での移動はこどもにとって、刺激がたくさんありますし、公共の交通機関を使うことは、社会のマナーやルールを自ら学ぶことにもつながります。
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確かに、社会勉強にもなりますね。駅名も土地特有のものが多いので、名前を聞いているだけで好奇心や探究心が刺激されます。小さい頃は、電車に乗りながら漢字を覚えた経験もあります。
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駅の看板にはふり仮名も書いているので、漢字の勉強にも役立ちますよね。移動といえば、親御さんが気にされるのが、車中の過ごし方なのですが……。何か良いヒントはありますか?
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色探しや形探しは手軽で楽しいですよ。車窓の向こうの景色を見ながら、たとえば、特定の色や形をお題に挙げて、それを見つけた人が発表するといった遊びです。景色を楽しみながら過ごせるのでおすすめです。
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それだと、大人もこどもも一緒に楽しめそうです。他にも、小野さんはお仕事でいつもたくさんのお子さんと向き合っていらっしゃると思いますが、接し方など何か工夫されていることなどありますか?
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まずは、どんなに小さなお子さんにも、同じ目線で声をかけて、コミュニケーションを取るようにしていますね。大人だから、こどもだからというのではなく、一人ひとりと向き合うようにしています。
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それは『旅仲間』とも通じる考え方ですね。目線を合わせて向き合うことで、こちらの言葉の選び方も変わってきますよね。
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中にはすぐに輪に入れないお子さんもいるのですが、私も小さな頃、人見知りな方だったので、その気持ちがよくわかるんです。だから、無理をして誘導するのではなく、自然と前向きな気持ちになるまで寄り添って見守りながら、心の距離を近づけていくようにしています。
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『旅育』でも「見守り」はとても大事です。でもやってみると、口や手が先に出てしまって意外と難しいんですよね。小野さんが、これだけ多くのお子さんから愛されている理由は、こどもの気持ちを尊重されているからなのですね。
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ありがとうございます。そう言っていただけて、本当に嬉しいです。
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ようやく、こどもを連れてお出かけもしやすくなりました。こどもの成長は早いので、ぜひ今しかできない特別な体験をして、親子で素敵な思い出をつくってほしいと心から思います。
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私も今日お話をさせていただいて、すぐにでも、次の旅の計画を立てたくなりました。ぜひ皆さんも、上手に『旅育』を取り入れて、楽しくて有意義な家族の旅を満喫してくださいね!